中国江南の古都を巡る 始めに

3月3日(月)から13日(木)の約10日間、中国の江南地方を旅行してきました。この地域は観光名所や美しい景勝地が多く、大変充実した旅行となりました。中国への旅行は3回目、約7年ぶりとなります。厳密には、昨年12月に乗り継ぎで中国には入国しましたが、これはカウントに含めません。この間、コロナ禍の影響により、中国へのビザなしでの入国が不可能となり、日中両国の関係も終始微妙な感じで、これはもう中国に旅行する機会は当分ないだろうなと諦めていました。そんな中、物事は急展開に進み、昨年の11月末からビザ免除措置が実施されることになりました(2025年12月末まで)。カンボジアへの旅行を終えてまだ間もないタイミングではありましたが、これはもう行けるうちに行っておこうという勢いのまま、春節が終わった時期を見計らって旅行する運びとなりました。3回目の今回は江南地方、具体的には上海、蘇州、南京、杭州、水郷の鳥鎮を巡ります。他にも候補はあったのですが、旅行し易さと3月上旬の気候を考えて比較的暖かそうな江南地方を選びました。中国ではGoogleやYoutubeが使えないという事情もあってか、現地の情報が思った以上に分からず、頼みの綱の地球の歩き方も古いまま改定の兆しがなく、事前の情報収集には苦労しました。またこの数年で中国国内ではキャッシュレス化が一気に進み、現金での支払いが難しかったり、事前に予約をしないと観光地に入場できなかったりと、外国人旅行者には障壁となる点がままあります。反面、高速鉄道や地下鉄を始めとしたインフラが整備されており、これらを利用することで安価で快適に観光することが可能です。

正直、色々不安があった中での旅行となりましたが、それなりに準備したおかげもあってか、理不尽な目にも合わずに順調に日程を終えることができました。旅行する中で、現地の情報も色々分かったので、この辺りをシェアできれば良いと考えております。個人的には南京が一番見どころが多かったと思うのですが、地球の歩き方のページ数の割かれ方が少ないことからも、日本ではかなり過少評価されていると感じました。地下鉄やバスを利用することで快適に観光できましたが、中国では建物にしろ道路にしろ基本的に広くて大きいので、予想通り足腰には厳しい旅行となりました。以前から腰に不安を抱えていたので、観光地を巡ることを優先し、食事などのそれ以外についてはできる限り手を抜いています。

ここ数年、映画やドラマの興味対象が欧米のものから中国に移った影響もあってか、中国の歴史や文化に対する知識が大分深まっていたので、以前の旅行に比べると一味違った観点で旅行することができました。歴史的に有名な人物にまつわる観光地を巡るのは単純に楽しく、現地の様子を肌で感じることが出来たのは大きな収穫で、より一層中国への興味が高まりました。

中国江南地方について

中国の江南という言葉は、最も広くとれば、淮河以南のほぼ全域を指しますが、一般にはもっと狭義の、長江の下流域一帯を指す言葉として使われます。古代中国の中心は中原(現在の河南省一帯)にあり、江南は外国のような存在で、未開の地を意味する「夷狄」扱いでした。そんな中、春秋時代に呉と越の国が勃興します。これらにまつわる言葉として「臥薪嘗胆」や「呉越同舟」などの四字熟語が有名ですが、歴史上の人物としては「伍子胥」が有名です。呉の国は現在の蘇州にあたり、盤門景区や虎丘などの名所があります。

江蘇省の首都である南京は、北京、西安、洛陽に並ぶ中国四大古都の一つであり、三国時代の呉(東呉)、東晋、南北朝時代の宋、斉、梁、陳が都を置いたことから「六朝古都」と呼ばれます。さらに、五代十国時代の南唐、明王朝もここを都としています。三国時代の呉はともかく、その後の南北朝時代などは日本人にはなじみがありませんが、この時代、江南地方はかつてないレベルで開発が行われ、六朝文化と呼ばれる貴族文化が発展しました。南京には歴史的な観光名所が多く、南京博物院などの見応えのある文化施設もあります。

宋の時代になると、土木技術の向上により、江南の湿地帯の農地化が進み、「蘇湖熟すれば天下足る」という諺がある通り、この地域の経済と生産力が中国の中心になりました。宋王朝は、北宋と南宋の2つの時期に分かれるのですが、南宋の時期に都が置かれたのが臨安、現在の杭州にあたります。この時代、臨安は世界屈指の大都市に成長し、元王朝時代になるとマルコ・ポーロらによってその繁栄ぶりが伝えられています。杭州と言えば、西湖が大変有名ですが、周辺には観光名所が集中しており、西湖十景に代表される絶景スポットを楽しむことができます。また、隋の煬帝が完成させた北京から杭州に至る京杭大運河に関連する観光名所も点在しています。大運河沿いの水郷地帯には多くの古鎮があり、その中の一つに鳥鎮があります。

最後の上海ですが、上海の歴史は比較的浅く、アヘン戦争後の1842年、南京条約によって開港されたことから始まります。当時は、長江の河口に近い一都市に過ぎず、後にイギリス人が居住する租界となり、外難地区にはこの時代に建てられた建物が多く残っています。上海が驚異の成長を遂げるのは1978年の改革開放後になります。

概要

中国の江南地方を、蘇州、南京、杭州、鳥鎮(烏鎮)、上海の順番で巡ります。中国への入出国は上海浦東国際空港を利用しました。都市間は高速鉄道で移動し、各都市では地下鉄やバスの利用がメインとなります。

日程

南京と杭州ではゆっくり観光したかったため3泊確保しました。蘇州は2泊、鳥鎮、上海は1泊のみです。蘇州や上海はもう少し滞在しても良かったのですが、体力的にもモチベーションの面でも10日ぐらいが自分の限界なので欲張りませんでした。

日付 スケジュール 宿泊先
3/3(月)

成田⇒上海(エアチャイナ)

上海⇒蘇州(高速鉄道)

フィルモア(Fillmore)ホテル(蘇州大学觀前街平江路)
3/4(火) 蘇州観光
3/5(水) 蘇州⇒南京(高速鉄道) メトロポーロホテル(南京夫子廟センター店)
3/6(木) 南京観光
3/7(金) 南京観光
3/8(土) 南京⇒杭州(高速鉄道) 杭州西湖東坡ホテル
3/9(日) 杭州観光
3/10(月) 杭州観光
3/11(火) 杭州⇒鳥鎮(高速鉄道 + バス) Wuzhen Homestay
3/12(水) 鳥鎮⇒上海(高速鉄道 + バス) 友裏ホテル(上海人民廣場)
3/13(木) 上海⇒成田(エアチャイナ)  

旅行の準備

航空券

日本⇔中国の移動はエアチャイナを利用しました。春節が終わったオフシーズンだったこともあり、往復諸税込みで32,500円というリーズナブルな価格で購入できました。フルキャリアなので受託荷物は2個まで預け入れ可能、機内食が付き、有料ですがキャンセルや変更も可能です。

都市間の移動

都市間の移動は高速鉄道を利用しました。以前に比べて高速鉄道の使い勝手は格段に良くなっており、オンラインでチケットを購入できるのは勿論ですが、現地で乗車券を入手する必要がなく、パスポートを提示するだけで乗車することが可能です。また、料金は上海⇒蘇州(約90km)が約900円、蘇州⇒南京(約200km)が約2,400円、南京⇒杭州(約250km)が約3,400円と日本の新幹線に比べると格安です。運行も時間通り正確で、遅延は全くありませんでした。

ホテル

中国では外国人が利用できないホテルがあり、予約ができても現地でチェックインを拒否されるケースがあるようです。対処としては、あまり安いホテルは利用せず、できるだけランクの高いホテルの利用がオススメされています。ちゃんと調べれば安いホテルも利用できるようですが、ここではミスりたくなかったので中国の会社が運営している予約サイトTrip.comで、外国人が宿泊できる旨が表記されており、口コミでも外国人が利用している形跡のあるホテルを選びました。結果的にいつもより若干高めのホテルを利用することになりましたが、その甲斐あって宿泊拒否を始めとしたトラブルに見舞われることがなく済みました。また、中国のホテルならではの特徴として、朝食が豪華で美味しいという印象がありますので、高めのホテルを利用するメリットは大きいです。

都市名 ホテル名 概要
蘇州 フィルモア(Fillmore)ホテル(蘇州大学觀前街平江路) シングルルーム、2泊朝食付きで約13,500円。地下鉄駅から近く、観光に便利な立地。向かいにコンビニあり。部屋は広く、清潔。朝食のメニューが充実している(蘇州麵が食べられる)。スタッフは親切。
南京 メトロポーロホテル(南京夫子廟センター店) ダブルルーム、3泊朝食付き(1人分)で約19,000円。観光名所の夫子廟に近く、地下鉄駅からも徒歩圏。周囲にはレストランやコンビニ等が多い。部屋は広く、清潔。朝食のメニューが充実している(鴨血粉絲湯が食べられる)。スタッフの対応は機械的。
杭州 杭州西湖東坡ホテル ダブルルーム、3泊朝食付き(1人分)で約18,000円。西湖から徒歩3分、地下鉄駅も近く、観光に便利。周囲は高級デパートが立ち並ぶ。部屋は広く、清潔、お茶等のサービスが充実している。朝食は普通。スタッフは親切。
鳥鎮 Wuzhen Homestay(乌镇民宿) 鳥鎮西柵景区内にある民宿。シングルルーム朝食付きで1泊約4,500円。早朝の景区内を散策できる。木造建築の趣のある部屋、バスルーム等の設備はビジネスホテル並みにしっかりしている。朝食はボリュームがあり美味しい。民宿のホストは親切。
上海 友裏ホテル(上海人民廣場)

ダブルルーム1泊朝食付き(1人分)で約9,500円。人民広場から徒歩数分、地下鉄駅も徒歩圏内。部屋は広く、清潔、ウォシュレットあり。朝食は向かいの食堂で20元分の食事が食べられる。スタッフは親切。

観光地の予約について

蘇州の拙政園や南京の中山陵など人気の観光地は事前の予約が必要です。これが中々曲者で、WeChat Payのミニアプリから行うのですが、操作感に慣れておらず苦戦しました。また、電話番号によるSNS認証が必要だったりと外国人観光客には障壁となっています。今回事前に予約したのは、南京の中山陵、南京博物院、南京大虐殺記念館、上海博物館です。このうち、南京博物院は中国の電話番号が必要でした。

その他

ガイドブック

いつもお世話なっている地球の歩き方シリーズの「上海 杭州 蘇州」編を持って行きました。これには南京や紹興なども入っており、江南地方を旅行するには最適の一冊になっています。ただし、初版がコロナ禍の前の1995年、一応「2019~2020年」版と銘打っており、随時修正をしている形跡はあるのですが、情報が古いことは否めません。観光地への入場方法も変わっていますし、地下鉄の路線図は大きな乖離がありますので、地図アプリなどで最新の情報を参照する必要があります。

travel guide china jiangnan

ネットの制約について

御存知の通り、中国ではGoogleマップやGmail、Youtubeが利用できません。回避方法はあるのですが、仮に利用できたとしてもGoogleマップは精度が悪く、中国製の地図アプリの利用が必須です。中国の旅行で最低限必要となるアプリを紹介します。

アリペイ、WeChat Pay

中国での決済の大部分はアリペイかWeChat Payで行われます。外国人でも利用可能で、クレジットカードとの紐づけもできます。中国の旅行ではこの2つがないと何もできません。

高徳地図、百度地図

中国ではGoogleマップが基本使えないのは勿論ですが、VPNを利用して仮に使えたとしても、精度が悪くて使い物になりません。中国における大手地図アプリである、高徳地図か百度地図を入れておくことをオススメします。

翻訳アプリ

中国では英語がほとんど通じません。カタコトレベルの英語すら通じませんので、こちらが中国語を使う必要があり、話が通じない場合など翻訳アプリが必要なケースがあります。

SIM

昨今、海外旅行におけるインターネット環境はどこの国へ旅行する場合も必須ですが、中国ではこれがないと、観光どころか、買い物や地下鉄に乗ることすら難しくなります。私の場合、料金面のメリットから現地の空港でSIMを購入するのが多いのですが、中国ではこのメリットはなく、日本で用意していくのが無難です。SIMの選択肢は無数にあるのですが、今回は中国の通信サービス会社「チャイナユニコムジャパン」が販売する「チョコSIM」を購入しました。このSIMは中国の電話番号付きなので、中国国内でのSNS認証が使えるようになります。中国の空港やホテルのWi-Fi、観光地の入場チケットを予約する場合、SNS認証が必要になるのですが、この時、中国の電話番号が要求されることが多く、日本の電話番号だと認証が通りません。ケースバイケースなので中国の電話番号は絶対必須というわけではなく、多くの観光客は電話番号なしのSIMを利用しているようですが、私は安心を買う意味でも電話番号付きのSIMを選択しました。90日間利用可能、データ量が6GのシーズンSIMが2,980円です。購入時パスポートの情報を登録する必要があります。私は会社の公式サイトから購入しましたが、amazonでも購入できます。

実際使った感想ですが、上海浦東空港から上海虹橋空港を結ぶ鉄道(市域机场线)の乗車券を購入した時だけ通信状況が悪くなりましたが、それ以外では全く問題なく使えました。楽天モバイルの海外ローミングが速度面で全く使い物にならなかったのに対し、通信速度も大変良好でアリペイなどの決済アプリなどもトラブルがなく使えました。データ量については、約10日の滞在で約3Gの消費なので十分間に合いました。料金はesimに比べると高額ですが、電話番号が使えるメリットは大きく、今後も中国旅行では使いたいと思いました。ちなみに、このSIMの場合、GmailやYoutubeなどのアプリをVPN無しで利用することも可能です。

両替

中国ではアリペイやWeChat Payによる電子決済が基本ですが、通信障害等によるトラブルでこれらが使えないケースも想定されたため、日本で1万円分を人民元に両替して持って行きました。中国の空港でも両替可能ですが、手数料が一律50元前後発生するため、少額の両替には向いていません。結果的に、現金は1元も使いませんでしたが、いざという時の保険という意味でも現金の所持は必要だと思います。

海外旅行保険

中国では治安や衛生面の不安は全くありませんが、一応海外旅行保険には入っておきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント