映画「ブレードランナー2049」の感想

2017年10月27日(金)に公開された映画「ブレードランナー2049(原題:Blrade Runner 2049)」を観てきました。

blade runner 2049

公式サイト

以下、映画内容についてのネタバレが含まれますので注意ください。

 

 

あらすじ

2049年、新型レプリカント(人造人間)である主人公Kは旧型レプリカントを解任(処刑)する任務を負いロサンゼルス郊外の農場を訪れます。旧型レプリカントのサッパー・モートンとの死闘の末に何とか解任しましたが、農場の地中から骸骨の入ったコンテナを発見します。その後の調査で、その骸骨はレプリカント(女性)のものであり、妊娠し子供を産んでいたという信じられない事実が判明します。衝撃を受けたKの上司であるジョシ警部補は、Kに子供を捜し抹殺することを命じます。

感想

この映画は1982年に公開された「ブレードランナー(原題:Blade Runner)」の続編にあたり、30年後という設定です。前作は興行的には失敗したものの、それまでの映画にはない退廃的な近未来のビジュアルはその後多くのSF映画に影響を与え熱狂的ファンを生み出しました。古くて汚いビルが立ち並び、至る所にネオンやモニターがあり、人々がゴチャゴチャとしているあの映像です。

私は前作を観ていなかったのですが、1997年に発売され大ヒットしたビデオゲーム「Final Fantasy Ⅶ(以下FF7)」はこの映画の世界観に影響を受けたということで名前だけは知っていました。本作を観る前に「ブレードランナーファイナルカット」をレンタルして観たのですが、いやービックリしました。影響を受けたどころか、そのまんま。。。当時、高校生だった私はそのような背景は露も知らずひたすらその世界観を楽しんでいたのでした。

さて話を戻すと、「マトリックス(原題:The Matrix)」や「AKIRA」、「甲殻機動隊」などのSF作品も影響を受けているらしいです。そう言われると、とても既視感のある映像だったんですが、ありとあらゆる作品が真似しまくってたわけです(真似が悪いとは思っていませんよ。世の中に本当のオリジナルなものなどほとんど存在しないのですから。)。30年以上前の作品ですが、今観ても全く色褪せない世界観、映像の美しさに脱帽しました。当時、リアルタイムでこの映像を見た方々が受けた衝撃は凄まじかったと思います。また、エンディングテーマがとても良かったです。

前作はリドリー・スコット監督が製作しましたが、本作はドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による作品となりました。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は今年の5月19日(金)に公開された「メッセージ(原題:Arrival)」の監督でもあります。メッセージは映像がとても美しく、表意文字による地球外生命体とのコミュニケーションという好みの内容で個人的に今年No1の作品です。他にも「複製された男(原題:Enemy)」という大変印象深い作品も手掛けており、近年とても気になっている監督です。

今作を観た感想ですが、まず冒頭、農場の上空を自動車のような乗り物で飛行するシーンがあるのですが、これが大変美しく心を奪われます。メッセージの時もそうだったんですが、この監督は本当に美しい映像を撮るのが上手ですね。ダークグレーを基調とした統一感のあるビジュアルが作品の価値を大きく高めています。

内容については、本当に続編となっており、前作を観ていないと深く楽しむことができません。前作では、デッカードという裏切り者のレプリカントを追跡するブレードランナーが主人公ですが、追跡の過程でレイチェルというレプリカントと恋に落ちてしまい、一緒に逃亡するところで話が終わります。

本作冒頭のトランクの骸骨はレイチェルのものであり、デッカードは子供の父親です。また、新型レプリカントを製造するウォレス社は、レプリカントに生殖能力を備えることができておらず、その野望を果たすべく子供を手に入れようと横槍を入れてきます。Kは捜査の過程で、子供は自分ではないかと疑い始めます。自分の中にある記憶の断片が子供の情報と一致するからです。結論から言うと、記憶はコピーされた(移植された)ものであり、本当の子供は別の所にいました。デッカードとその協力者が、子供を守るためコピー(=K)を造ったわけです。デッカードも子供とは関わらない人生を選択していました。自分が拠り所としていた記憶がコピーされたものと知りショックを受けますが、ウォレス社との闘いを制し最後はデッカードと子供を会わせることができたところでこのお話は終わります。Kは最初、レプリカントということで無感情なんですが、自分は人間ではないか?(造られたものではなく生まれたものではないか)と疑問を持つ辺りから感情を感じられる部分が出てくるのが面白いです。この世界では人間とレプリカントを分けているのは感情の有無なんですが、その感情の拠り所、人間が人間たらしめているのが記憶であり、移植されたものであっても、それが人間のものと遜色なければ両者を隔てるものが無くなります。人間とはなんだろうか?と根源的なテーマを深く考えさせられる作品です。また、Kはとても孤独で、普段は人間から差別的な目で見られ、唯一心?を通わせているのはAIのガールフレンドという寂しい境遇に置かれているのですが、この2人のやり取りがとても人間的なのが印象的でもあり切なくもありました。独身者が孤独感を癒すためにペットを飼うという現状がありますが、これがAIに置き換えられる日が来るのも遠くないかもしれないなーと感慨深いものがありました。

評価

10点満点中9点です。映像作品としては最高です。ただし、前作を知らないと置いてきぼりを食らいますし、一貫して説明不足なのでエンターテイメント性は低いです。2時間43分という長い映画であり、私はとても楽しめましたが万人にオススメできません。鑑賞した人の評価は概ね高いようですが、興行的に苦戦しているのがその証左だと思います。

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